***常識と礼儀の違い***




 うわぁ、なんか小難しそうな話になりそうだ。

 と、思われるかと思うのですが(笑)
 
先述で「着物と浴衣はスーツとキャミのようなもの」と言いました。
 このサイトでは「やっちゃダメなのは左前だけ!」と何度も書いてきました。その気持ちは変わりません。
 ただ、郷に入っては郷に従えとか、長いものには巻かれろとか言いますよね?(微妙に違うくないか?)

 常識→着物は左前には着ない
 礼儀→公式の場にケの着物では行かない


 という感じです。
 なにを言いたいかと言いますと、お着物の礼儀は知っておいたほうが無難だけど、守りたくなかったら守らなくてもいいんじゃない?
 と、いうことです(笑)

「昼間に浴衣を着て、ホテルでランチはおかしいって知ってるけど、私は浴衣で来たかったの」
 というのはある種のポリシーを感じられます。
 でも、「浴衣は夕方着るものなんて知らなかったの」とホテルでランチをした後で恥ずかしい思いをするのは‥‥‥ちょっと情けないですよね。
 礼儀なんで、知っていて損はしない。
 でも、礼儀って‥‥‥調べ出すとそりゃあ、もう、山のように細かいことが出てくるんです。

 季節や時期にあれや、これを着て‥‥‥という色柄の指定から裏地があるかないかとか、公式の場にはこういう草履がよくて、着物の時には時計とかしちゃダメ。などなどなどなど。
 こういう礼儀が流派ごとに違う状態で、こまごまこまごまとあるから『着物を着るのは難しい』ということになっちゃうのです。



 で、結局のところなにを言いたいかと言えば‥‥‥
 調べてもわからなかったら近づかなければいいんだよ。

 と、いうことです。
 難しい。わかんない。
 では済まずに、お着物を着たい!!と思ったら、どうしても立ち塞がるハードルなんです。この、細かい「礼儀」という名の規則は。
 このハードルは、行く場所が公式の場に近づけば近づくほどずんずん高くなっていきます。
 なので、新芽ちゃんは「お茶会」「歌舞伎や大きなホールでの演劇鑑賞」「寺社仏閣への参拝」「入学式、卒業式」への着物での参加は、ちょっと待って下さい。
 調べて、これこれこういう格好で行くんだな。と理解されているのなら止めません。GOGO!チャレンジだぁ!!と背中を押しますが、「わ‥‥‥わからん」と思うなら、該当する洋服で参加して着物を着ている方を観察しましょう。
 あ、半襟が白い。
 足袋も白だ。
 下駄を履いている人はいないなあ。
 柄物の着物の人って少ない?(お茶会は色無地の方が多いですね)
 などと気づくこともあります。いっそ、体当たりで聞いてみるのも漢です。(けっこう親切に教えてもらえるよ)

・常識はたったひとつ。「左前禁止」だけ。
・礼儀はめっちゃめちゃたくさん。多種多様。

 なので、礼儀が必要な場所には、自分に自信が持てるまで待ってみて下さい。
 礼儀と常識をごっちゃにしている方が多々いらっしゃいますが、礼儀は礼儀。箸の持ち方が間違っていても、お茶碗が左で汁碗が右でもご飯は食べれます。
 常識は、この例えで言うなら「お米は水で研ぐ。洗剤を入れて洗ってはダメ」って感じかな。


 長々と、なんでこういう例えをするかと言いますと‥‥‥
 今ね、浴衣を販売しているお店がしきりに「浴衣を着物のように着こなして、昼間にもお出かけしましょう」って勧めていますよね‥‥‥これって、
初心者に向けて着物を着慣れている方が言うのはおかしいと思うんです!

 確かに浴衣を着物のように着るのって可愛いよ。
 でも、それは知っている人がやるからおしゃれなんであって、全然知らない人がやるのは、ちょっと無謀なんだと思うのです。
「おコメを洗え」
と言われれば広い世の中「洗剤」を取り出しちゃう人がいます。
 ね、怖いでしょう?
 絞りや特殊織りの高価な浴衣を、着物のように着るのは素敵です。可愛いと思う。カッコいいとも思う。
 だけど、それは着慣れている人がやるから「おしゃれ」なんです。

 着物を着慣れている人が勧めたからと言って、それが「常識」ではないんです。「礼儀」違反の「おしゃれ」を勧めている場合もあるんです。
 無知ほど怖いものはありません。
 だからこそ、自分を無知だと思うなら、調べる努力かわかるまで近づかない努力を惜しまないで下さい。
 無知が無恥になったらいたたまれません。

 「礼儀」「規則」「規範」と着物界はうるさい世界です。
 いいじゃん、好きに着させてよ。
 そう思って当たり前。洋服と一緒で、そういう細かいことを言われる世界にはあなたが慣れるまで近づかなければいいんです。
 洋服で言うなら「スーツ(もしくはドレスアップ)じゃないと入れないような場所」が基準かな。



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